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綱沢満昭『宮沢賢治 縄文の記憶』風媒社、9011月、20cm220

 賢治の〈農〉とのかかわりを、傾斜と犠牲・弱い者からの視点等から繰返しその諸相を検討し、当時の農本主義的イデオロギーや、階級意識などの視点ともつき合わせてその相違点を明らかにし、賢治の苦闘ぶりと諸矛盾の中に、或る無理を感じとっている。著者によればそれは、賢治の縄文的・山人的本質―弥生文化稲作農業の東漸以前の、自然と共存した狩猟文化の血が賢治に流れているためだという。終わりの二章では、賢治の法華経への傾倒・禁欲への固執を、いずれも父政次郎に対する拮抗、克服への意志に由来するとみている。(天沢)

事項索引:禁欲、縄文文化、農業一般、法華経、宮沢政次郎