1-143

根本順吉「自在に自然と遊んだ天才詩人―造語に秘めた知識―」科学朝日、第50巻4号、朝日新聞社、90年4月、1217

 主に用語検索から賢治の科学知識に迫ったもの。まず「蛙のゴム靴」の「ペネタ形」の雲について、戦後に出てきた概念に「ペネトレーティブ・コンベクション」の語(『気象の事典』)があることを指摘した上で、むしろ昔の英語の本で気層の解説によく使われたペネトレーティブ(貫き通す)にヒントをえたものだと指摘する。次に「ポラーノ」の意味は北極星だとし、つめくさの番号は谷川雁氏と同じく星雲番号(NGCカタログ)ではないかと推察。次に「グスコーブドリの伝記」の火山知識の出典を考察。サンムトリ、タチナの火山名から、サッパーの『Katalog der geschichtlichen Vulkanabruche』と小林房太郎の『火山』(昭四)をあげる。さらに「銀河鉄道の夜」の「天気輪の柱」を太陽柱に擬してみせる。(大塚)

作品索引:「蛙のゴム靴」「銀河鉄道の夜」「グスコーブドリの伝記」「ポラーノの広場」

事項索引:火山、気象、星