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青木美保「「貝の火」論」比治山女子短期大学紀要、第24号、比治山学園比治山女子短期大学、90年3月、2333

 主な先行研究に言及しつつ、ギリシャ悲劇、「特に運命悲劇の持つ典型的な展開」が与える感動と同じものが、「貝の火」の「強い衝撃力」の源だと言い、アリストテレスの「詩学」の「悲劇の筋の組立て」の中にある「急転」と「発見」の二要素も見出せるとする。さらに「貝の火」における「善行にまつわるコンプレックス」の特徴を、志賀直哉作品と対比しながら明らかにし、「貝の火」とは「善行」を経て「社会あるいは関係性の世界に参加することになった」主人公ホモイが「引き受けなくてはならなくなった様々な責任、負債」を、「典型的な巷の父母像」ともいえるリアルな「親子関係」の下に描いた作品だとしている。(栗原)

作品索引:「貝の火」

事項索引:親子関係、善行