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斎藤文一『宮沢賢治四次元論の展開』国文社、912月、798頁、22p

総頁数778頁に渉る大著。構成は三部に分かれ、それと序章、終章、資料編並びに附表として別冊に妙宗式目五大門図検が付されている。第一部は、第一章作品とともに、第二章宮沢賢治の四次元論とその源泉、第三章『日蓮主義教学大観』の世界、第四章物理学十五の事象と如来寿量品―その照応する華池、第五章物理学抄双二十葉、第六章地人論の系譜―宮沢賢治の成立()、第七章修羅論―宮沢賢治の成立()となっている。第二部は、第八章作品とともに、第九章解放の生命論、終章新しい宮沢賢治学への序説、とあり、それに資料編『日蓮主義教学大観』(『本化妙宗式目講義録』全縮約、以下五項目)、あとがき、参考文献、物理学用語索引。以上がその内容を目次に示して列挙したものであるが、著者の新しい宮沢賢治学への序説(終章)によれぱ、宮沢賢治学とは「それは賢治という、きわめて多層的な人物を、全体として認識するための学」であるという。その視点から著者は四つの方法を提起する。()賢治の個性も世界史の中でとらえられねばならぬということ(世界史の方法)()歴史学、文献学、杜会学、民俗学、心理学の方法も欠くことができない(文化・社会学の方法)()法華経学、日蓮教学及び他の宗教の教義学の方法において重要な課題が挙げられる筈である(教義学の方法)()修羅から地人へと向かう認識運動として、「個人から民衆へ」そして芸術運動へ向かう方向づげを行わねばならない(修羅から地人へ向かう認識運動の方法)というものである。本著の膨大な資料や文献の引用は、この四つの方法乃至は課題として決定づけるものと捉えることができる。(萩原)

事項索引:四次元論