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清水正「『オツベルと象』の謎と神秘」江古田文学、第112号、江古田文学会、9111月、4655

 「オツベルと象」におげる数の「神秘的象徴性」を考察してオツベルは「悪魔的意味」をもち、百姓は「聖なる者」、白象は「聖的象徴」であるとする。最終行を、白象が川に入って死ぬ場面と読み、「〔一字不明〕」の箇所がヘブル語の、(ヨッド)であった可能性を推測して、そこに「男性的原理から女性的原理への変換、および父性的原理三と母性的原理四との間のゆらぎ」というこの作品の意義が浮び上がるとする。また、白象が呼びかける月も、山の象へ手紙を書けという「赤衣の童子」も白象の「無意識」の「暗黒領域」の投影であり、また、これらと白象を助けに来た山の象は、ともに白象の自己正当化のあらわれであり、白象は「救出されはしたが、実は敗北した」いう解釈を示している。(杉浦)

作品索引:「オツベルと象」