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千葉一幹「可能性としてのイーハトーブヘ」日本文学、第4012号、日本文学協会、9112月、5160

 「グスコーブドリの伝記」と江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」の対比を「触媒として」賢治作品におげる「ユートピアと自己犠牲の問題」の追求を主題とする。平尾隆弘が「自己犠牲の対極として挙げた『自己放棄』=デクノボーの死」も実は同じ根につながるものであり、「中村稔が同列に扱ったブドリとカンパネルラの死」の間にある差異を解明した上で、ブドリの死は、個が個であるまま普遍へと直結するという回路、一人を祈ることと生き物すべての幸福の実現という相反する要求を、同時に実現したもの」となっており、「ブドリの死によりイーハトーブは初めてイーハトーブとして生成した」とする。(栗原)

作品索引:「グスコーブドリの伝記」

事項索引:イーハトーブ、江戸川乱歩、カムパネルラ、自己犠牲、デクノボー、ユートピア