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冨田博之『賢治と南吉の演劇世界』国土社、91年1月、218頁、19cm

本書は「はじめに」以下六章より成り、如月小春「巻末に寄せて」が添えられている。そのうち、T、U、X章が賢治について。第T章は、劇作家としての宮沢賢治の童話劇について及び賢治自作の戯曲「餓餓陣営」「植物医師」「ポランの広場」「種山ヶ原の夜」について触れる。第U章は宮沢賢治童話の脚色されたものとして、さねとうあきら(「注文の多い料理店」)、照井登久子(「どんぐりと山猫」)、岡田陽(「貝の火」)、筒井敬介(「風の又三郎」)、川村光夫(「鹿踊りのはじまり」)、わだよしおみ(「よだかの星」)、若林一郎(「オイノ森とざる森、ぬすと森」)、森田博(「セロ弾きのゴーシュ」)、荒木昭夫(「オツベルと象」)、小池タミ子(「雪わたり」)、ふじたあさや(「グスコーブドリの伝記」)の各氏の作品解説を行っている。第X章では教師としての賢治が花巻農学校時代の賢治の演劇創作活動を鶴見俊輔の「限界芸術」観と結びつけ、さらにその発展の典型として、演劇創造者賢治を見出している。賢治と新美南吉とを対照的に捉えているのも一つの特色である。(萩原)