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中村三春「〈統合〉のレトリックを読む―修辞学的様式論の試み―」日本近代文学、第45集、日本近代文学会、9110月、99110

 「一 宮沢賢治と「もの」のシネクドキー」を含み、「二 横光利一のメトニミック・ワールド」中の「3〈統合〉のレトリックと様式」でも賢治にふれている。『春と修羅』のテクスト群を中心に分析する「一」では、「自然界の物質と人間、さらには人間による人工物との境界線を撤去し、それらすべてに「霊」(精神)認め、再統合する強力な方向性を帯び」た宮沢様式≠析出。宮沢様式≠ヘ、メタポラ(提楡・隠楡)を中核とした〈統合〉の様式である、と結論する。「二3」では、「一」の結論を展開させ、宮沢様式≠ェ「通俗デカルト的な近代合理主義への反措定である〈統合〉の世界観」基づくものであること、また、〈統合〉は単純な調和ではなく多くの偏差を包括しながら来るべき総合的様式への出発点となる契機であること、を論じている。(安藤)

作品索引:「ぬすびと」「春と修羅」「小岩井農場」「岩手山」「たび人」「冬と銀河ステーション」「一六六 薤露青」〔鶯宿はこの月の夜を雪降るらし〕