2-163

牧野立雄『宮沢賢治 愛の宇宙』小学館、9110月、203頁、16p(小学館ライブラリー11)

 第T部「宮沢賢治・愛の宇宙」では、宮沢賢治にという存在に「根源的な分裂」「創造性にむかわせる大きなカオス」があったと規定して、賢治の生涯に根源的な分裂にもとづく「自我のめざめと初恋」「修羅としての自立」、病気を契機とした「根源的分裂とその統合」という三つの「回心」をみる。また、作品に現れる女性像を生活史に沿ってたどりつつ賢治の「精神発展の段階」に対応した女性像の変化をみた。

 第U部は、第T部を基調報告としたシンポジウム「修羅を生きる」の記録。参加者は、いぬいとみこ・河合隼雄・河合雅雄・牧野立雄・山折哲雄・山中康裕。

 第V部は、河合隼雄へのインタビュー「愛とファンタジーの深層―河合隼雄氏に聞く」。河合はユング派の臨床心理学者としての立場から、賢治が意識の深い層まで至りえたこと、性欲と透明感の関係、合理的思考とファンタジー、修羅意識の意義などを広範に語っている。

 第W部は「宮沢賢治の一世紀・年譜及び研究史」。(杉浦)

作品索引:「泉ある家」「女」「十六夜」「なめとこ山の熊」「永訣の朝」

事項索引:宇宙意志、家業、国柱会、修羅、宗教、女性、高瀬露、初恋、挽歌、病気、宮沢イチ、宮沢トシ、宮沢政太郎