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宮廻和男「夢の中へ―宮沢賢治の〈異空間〉への行き方―」文学研究論集、第8号、筑波大学比較・理論文学会、913月、2338

 童語の主人公たちの日常的空間を〈現空間〉、到着地を〈異空間〉と定義し、『注文の多い料理店』や初期作品を分析して、これら二つの空間が存在し、〈異空間〉は「身近な存在」であり、主人公は他の空間へ瞬時に移動するという共通点を抽出した。このような特徴は「昔話」「世間話」に顕著であり、賢治の創作の基盤には伝承世界があったと推定した。また、中期から後期の作品では、二つの空間が存在するが、〈現空間〉と〈異空間〉は隔絶し、移動には〈入眠〉などの手段が必要になっていると分析し、賢治自身が初期ほど自由に幻想の中に入ることができなくなったためこのような変化が現れたと論じた。(杉浦)

作品索引:『注文の多い料理店』

事項索引:異空間、童話、昔話