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赤祖父哲二『宮沢賢治現代思想への衝撃』六興出版、91年1月、20cm224

 科学、宗教・政治、文学の三分野を三章に配して現代思想に賢治が与えうる衝撃について論ずる。第一章「光象」ではアインシュタインらの科学革命、特に「光」の解明がもたらした思想上の変革について述べる。第二章「修羅」では宗教の有する聖・俗の二面、すなわち救いとユートピア幻想の実践について考え、第三章「風童」では「遊び」とその一形式としての変身願望の考察を通じてメタファー論に及ぶ。従来信じられて来た統一的、決定論的な秩序・価値の体系を覆し、多元と自由を指向する現代思想の各相と共通項を探り、現象を科学・宗教・文学の境界を超えた「直観の一致」において捉えていた賢治の先駆性が論じられている。(大塚)

事項索引:思想、哲学