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入沢康夫『宮沢賢治 プリオシン海岸からの報告』筑摩書房、91年7月、490・索引5頁、22cm

 堀尾青史『年譜宮沢賢治伝』の書評文(一九六六)から、「ヒドリ」論争に関する再説文(一九九〇)まで、著者が二十五年間に新聞雑誌その他に発表した宮沢賢治関係の文章のほとんどすべて、長短あわせて七十篇を収めた大冊(巻末覚え書によれば、収められなかったものも二十五篇ある)。

 構成をあわせて要約すれば、宮沢賢治の作品創造の特質を総論的に述べた「四次元世界の修羅」を序に代えて♀ェ頭に置き、第T部には校本全集編纂にかかわる以前の文章五篇(中では「貝の火」を中心に空洞≠フ伝承からメタフィジックまで相渉る「空洞考」が代表的論考)、第U部には校本全集編纂に掲わった時期の発見とその報告をめぐる二十六篇(中では、『春と修羅』自筆印刷用原稿のノンブルその他を手がかりに「詩集『春と修羅』の成立を論じた長文の論考が、内容は全集校異に同じにもかかわらず、文献考証の論理の展開現場性という点で、失われることのない意義を保っている」、そして第V部にそれ以後の二十八篇(「冬のスケッチ」や『春と修羅』、心象スケッチ≠フ方法についてなど、基本的問題の再考を促す文章が多い)、それに書評文十篇が追加されている。(天沢)

作品索引:『春と修羅』