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大塚常樹「宮沢賢治の進化論的世界―賢治とヘッケル及び賢治修羅と中生代爬虫に関する考察―」お茶の水女子大学人文科学紀要、第44巻、91年3月、5168

 二章から成る。第一章は、賢治におけるヘッケルの受容を論じたもので、先行研究である小野隆祥「『青森挽歌』とヘッケル博士」を検証した後、自説を展開。ヘッケルの「生物発生の原則」は賢治に強く影響を与えたが、「霊魂死滅」に関しては、明らかな対立が認められると主張する。第二章は、賢治の修羅意識の核としての中生代爬虫幻想に注目。そこからの自己救出として、賢治はヘッケルの進化論から導かれる「生物の霊魂(意識)の発展段階的把握」の思想を形成するに至ったと主張。(鈴木)

作品索引:「青森挽歌」「楢ノ木大学士の野宿」