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大藤幹夫「宮沢賢治童話研究資料覚え書?―一九五三年度発行「四次元」を中心に―」学大国文、第34号、大阪教育大学国語国文学研究室、912月、4362

 承前として、一九五二年の文献―森荘巳池校注・解説『宮沢賢治歌集』(創元文庫)とおよびその二十一年版『雨中謝辞』(創元杜、宮沢清六解説)、当時の研究文献目録、児童文学者側の発言から『現代児童文学史』(船木枳郎、新潮社。賢治はロマンチストにすぎない、思いつきにすぎないという否定的評価)―を取り上げ、後、一九五三年の文献から童話論を中心に解説する。その中心は、童話論を視座にした「四次元」(三十五号〜四十五号)についての考察。朝鮮休戦協定の調印、ソビエトの水爆実験成功を背景にもつ一九五三年には、いかに生くべきかという問いが浮上し、そうした中で、賢治童話が読者の生き方のひとつの指標になっていた、と述べる。童話の中に賢治自身の姿を映し出し、それを読者が自らの生き方と関わらせる傾向が濃厚に現れていた当時の研究動向を示した。(安藤)