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川島裕子「「ガドルフの百合」考―「夢十夜」との関わりをめぐって―」KYOURITSU REVIEW、第19号、共立女子大学大学院文芸学研究科、913月、1―16

夏目漱石「夢十夜」中の《夢》に相当するものを「ガドルフの百合」の《旅》とし、とりわけ共通のモチーフが散見する「第一夜」と「ガドルフの百合」を比較しながら論ずる。この二作は、非日常の連続である《夢》=《旅》の中で《恋》を開花させる作品世界であるが、「第一夜」は百合の登場によって《夢》が終わるのに対し、「ガドルフの百合」は百合が《旅》をさらに衝き進める力となる。これは差異と言うより、とらえきれない《恋》のさまざまな結末の相ではないか、また《恋》の対象は漱石にとっても賢治にとっても作品そのものかもしれない、と結ぶ。(安藤)

作品索引:「ガドルフの百合」