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中野新治「死の夢・夢の死―「銀河鉄道の夜」ノート―」日本文学研究、第26号、梅光女学院大学日本文学会、9011月、127139

 「ほんたうの」という言葉を手がかりに、「登場人物の原動に不自然なひずみを与えてもなお」「ほんたうの幸」とは何かを追求しなければならない「作者の主観性」を導いて「作品の自立性の危うさ」を指摘し、次いで「銀河鉄道の夜」の旅は「他界の発見であると同時に」ジョバンニの「他者の発見」の旅でもあったが、彼の「ほんたうの幸」への決意は「決して体現化されていない」状態にとどまっているとする。そして、未熟なジョバンニに対して、初期形ではブルカニロ博士の補助を前提にリアリティが保たれるが、後期形では「友人を失った孤独な少年の夢の物語として一応完成された」にもしても、「新信行の確立」という「夢の死」がもたらされたという。(栗原)

作品索引:「銀河鉄道の夜」、「銀河鉄道の夜」初期形、「ひのきとひなげし」

事項索引:ほんたうの幸