第83号 2006.09.03
宮沢賢治学会イーハトーブセンター事務局発行
・宮沢賢治学会イーハトーブセンター第17会定期大会プログラムのお知らせ
連日の快晴に恵まれ、宮沢賢治生誕110年記念第3会国際研究大会が閉幕いたしました。はたして参加者の皆さんの感想はいかがだったでしょうか。
その熱気せめやらぬまま、9月も賢治祭をはじめさまざまな催しが予定されていおります。今回同封されている通知と情報チラシは、次の通りですので、どうぞご確認ください。
お詫び 9月23日に予定されておりました「ポランの広場 賢治を歌う」は都合により中止となりましたので、お知らせいたします。なお、その時間帯に、イーハトーブ館主催により、スタジオジプリ・アニメ「セロ弾きのゴーシュ」と、最新作「種山ヶ原の夜」を上映(無料、午後1時30分、午後3時30分 先着200名、各回入れ替え)いたします。上映は24日までですので、お見逃しなく。
今回、本年度の会費(毎年4月〜翌年3月)につきまして、前年度分滞納の方、及び今年度未納の方に、事務局だよりとともに郵便振替の用紙を同封いたしました(納入済みの方には同封されておりません)ので、納入についてよろしくお願いいたします。
同時に会費の受納は随時受け付けており、イーハトーブ館への来館のおり、郵便局、銀行へお立ち寄りの際、収めてくださっても結構です。
郵便振替口座 02330=7=26637
岩手銀行花巻支店普通口座 0480908
名義 宮沢賢治学会イーハトーブセンター
会費年額 一般・3000円 学生・1500円
賛助会員・個人 一年一口1万円(何口でも可)
賛助会員・団体 一年一口3万円(何口でも可)
小・中学生無料
このお知らせと行き違いにお支払い済みの場合は、何とぞご容赦のほどお願 い申し上げます。また、会費に関するお問い合わせは、事務局までどうぞ。
前回事務局だより(6.12)以降の理事会・委員会ごとの会務をお知らせします。
◆理事会
◆賞選考委員会
◆企画委員会&定期大会実行委員会
◆学会主催・協力事業・事務局
6月20日(火) イーハトーブ館企画展示「宮沢賢治と温泉」開幕
6月23日(日)、7月27日(木)、8月9日(水)、小中学生対象 風のワークショップ(賢治作品の中の植物たち)(石っこ賢さんになってあそぼう)(銀河鉄道の夜を散歩しよう)(子ども劇)
8月22日〜24日 風のセミナー 花巻市内幼稚園・小・中・高校 55講座
8月24日(木) 第3回宮沢賢治国際研究大会「前夜祭」〜イーハトーブの子どもたち〜 午後6時 花巻市文化会館大ホール 第1部 賢治童話劇 第2部 イーハトーブ・中学生シンポジウム 第3部 あんべさんと歌おう
8月25日(金)〜27日(日) 宮沢賢治生誕110年記念 第3回宮沢賢治国際研究大会 花巻市文化会館大ホールほか
会員各位
宮沢賢治学会イーハトーブセンター 代表理事 天沢退二郎
謹啓 ますますご清栄のこととみよろこび申し上げます。
さて、次により定期総会を開催いたしますので出席くださいますようご通知申し上げます。
なお、当日ご出席願えない場合は、委任状によって議決に参加していただくことができますので、所定の書式により他の出席会員にご委任ください。
記
1日時 2006年9月22日(金曜日)午後1時30分
2場所 NAHAN(なはん)プラザ(東北線花巻駅前)
3議題 議案第1号 2005年度事業報告及び収支決算の承認について
議題第2号 2006年度事業計画及び収支予算について
議題第3号 役員の改選について
※当日ご出席の際は、会員証を会場受付にご提示くださいますよう、お願いします。
定期大会実行委員会
来る9月22日23日の二日間にわたって、第16回定期大会が開催されます。
会員外の方も参加できますので、どうぞお誘い合わせの上、おいでください。
「私と賢治」というテーマで参会者が、5分間の中にそれぞれの思いを気軽に述べあうコーナー。ただし「宣伝」や「行事案内」だけの内容のものは、ご遠慮いただいておりますので、あらかじめご了解願います。
なお、発表者への記念品として、天沢退二郎署名入り『宮沢賢治万華鏡』(新潮文庫)を用意いたしますので、どうぞ皆様ふるってご参加ください。当日会場にて申し込みを受け付けます。
宿泊のご案内
花巻観光案内所・観光センターをご利用ください。市内のすべての宿泊施設 をご案内いたします。
花巻観光案内所(花巻駅前) 電話/FAX 0198−24−1931 花巻観光センター(新花巻駅舎内) 電話/FAX 0198−31−2244
◆花巻農業高校創立100周年記念講演会 講師 井上ひさし「賢治を生きる」
午後1時30分開演(先着400名) 花巻文化会館大ホール
◆花巻農業高校「賢治先生を偲ぶ会」午前9時〜午後2時 銅像「宮沢賢治」除幕式
花巻農業高生によるステージ発表、鹿踊りほか 花巻農業高校第2体育館
◆賢治の里で賢治作品を読む会 午後1時〜 宮沢賢治イーハトーブ館
◆賢治祭 花巻市桜町 雨ニモマケズ詩碑前(雨天時は南城小学校体育館)
第T部
午後5時〜 献花
午後5時30分〜 藤原真理チェロ演奏、詩の朗読、合唱、野外劇、鹿踊りなど
第U部
午後8時20分〜 座談会(篝火を囲んで)
◆スタジオジブリ・アニメ「セロ弾きのゴーシュ」「種山ヶ原の夜」上映会
午後1時30分、3時30分(先着200名、各回入れ替え)
宮沢賢治イーハトーブ館ホール
◆スタジオジブリ・アニメ「セロ弾きのゴーシュ」「種山ヶ原の夜」上映会
午前9時、11時、午後1時、3時(先着200名、各回入れ替え)
宮沢賢治イーハトーブ館ホール
宮沢賢治が手帳に記した願いの言葉「雨ニモマケズ…」に続けて記されたマンダラは、鎌倉時代の僧日蓮の創作による本尊で、法華経に基づく仏とその働きを現わす。
本研究では、宮沢賢治が法華経の寿量品を尊び、その教えを守ろうとしていた事、ならびに同時代に法華経を解り易く解説し、賢治も影響を受けた小林一郎の法華経とマンダラの解釈に着目して、「雨ニモマケズ…」とマンダラの関係を考察した。
諸々のあらゆる功徳を修め 柔和で質直なる者は すなわち皆我が身ここに在って 法を説くを見るなりと和読できる偈(頌詩)の一節である。
小林一郎によるこの一節ならびにマンダラの解釈を引用し、「雨ニモマケズ…」の主要部とマンダラを一体とみなすと、それはこの一節に符号し、仏を見たいと願った宮沢賢治が、そのために積むべき具体的な功徳と心構え(=雨ニモマケズ…)、その結果見える仏とその働き(=マンダラ)、を続けて表現したものと解釈することができる。
前回"小題「春と修羅」の物象学的論考"と題し、宮澤賢治の上級学校進学願望の詠歌冒頭四行を絶句詩形式として抽出し、それに自然科学的根本真理を適応させ、学術進歩上の預言詩的要素の存在性を指摘した。今回は森羅万象の博物学に対し、その根本的真理を適応せしめ、特に形態学(第三次的)と生態学(第四次的)との対比について述べたい。第一集の"青森挽歌"で詠まれる生態学者E.H.ヘッケルの系統樹より出発し、"種の多様性"を論じ、第二集の"五輪峠"の"電子の真空異相"より化学結合論者G.N.ルイスの法則を羅須地人協会設立後の教育指導要領に適用させ、1923年に賢治のパラダイム期を求めた一助としたい。かくて論理学的三段論法(点)より芸術学的四段論法(線)への転換を見出し、創作的略語化方式の規則性をも論じたい。単なる文芸論に止まらず、自然科学的文学論を基底として宗教と科学に迫り得る共通性を求めて語りたく思考する。
賢治は18歳の時に法華経と出会って深い感銘をうけ、その後は法華経信奉者として、数多くの作品を著したが、法華経に出会う前の賢治は幼い時から浄土真宗の思想の影響を深く受けて育っている。演者はこれまで賢治作品と法華経との関連についてみてきたが、法華経に出会う前の賢治は浄土真宗を通して仏教思想を血肉化していたという要素を考え合わせないと、賢治作品を見る上で片手落ちではないかと思うようになった。
ここでは「ひかりの素足」をとりあげ、作品中の"にょらいじゅりゃうぼん第十六"にみられる法華経の思想、作品に投影されている浄土三部経(大無量寿経・観無量寿経・阿弥陀経)の思想、並びに一郎兄弟が"うすあかりの国"に入り込むまでの民俗信仰をみながら、賢治の宗教思想が民俗信仰・浄土経・法華経とが重なり合った重層的構造をなしていることをみていく。それを通して、賢治がもつ仏教思想の普遍性について考えてみたい。
「〔黒と白との細胞のあらゆる順列をつくり〕」という作品は、人間の「意識」というものが、純粋に自然科学的な立場からはどのように見えるのかということを、やや硬質の体裁で述べてみたものといえる。
そこではまず、意識とは「脳」の機能であることが暗黙のうちに前提とされ、次にその能は「黒と白との細胞」から成っていて、さらに個々の細胞は「電子系」でできているので、結局のところ「わたくし」とはす、「自己意識を持ったある種の電子系」であると結論づけられる。
ところで、この作品冒頭にある「黒と白との細胞」とは、いったい何を意味しているのだろうか。演者は、この比喩は神経細胞の状態の「二値性」を、すなわちコンピュータの演算素子のように、0か1かの二つの離散的な状態をとることを表していると推測する。そして当日の発表では、賢治がいかにしてこのような知見に触れえたのかということについて、科学史的検討を行う。
詩「雨ニモマケズ」は、宮沢賢治の名と共にもっとも人口に膾炙されている作品である。この平易に書かれた詩は、平易であるが故に後世の人たちにより粗雑に扱われている嫌いがある。
どのような作品理解でも記述されている言葉が正確に理解されなければならないが、そのためには記述の仕方が分かる原本を見るのが良い。さいわい現在は「抜粋復元版・宮澤賢治『雨ニモマケズ』手帳」が比較的容易に入手できるので、誰もがこれによって原本の様子を知ることができる。
詩「雨ニモマケズ」理解の第一歩として、この原本から読み取れる情報を可能な限り読み取ってみた。修正だらけの原本は、一見粗雑に記入されているようにも見えるが、詳細に分析すると個々の修正にはそれぞれの意味があることが分かる。
そのような読み込みの結果、従来の諸説とは異なる視点が得られた。今後の「雨ニモマケズ」理解の一助にと思い報告する。
賢治短歌を、単なる伝記的事実の補助資料としてではなく、第一義的には、「文学」として読み解きたい。これが発表者の賢治短歌に対する基本的態度である。この解明のためには、賢治短歌の全般に渡る巨視的考察と、個々の作品に即した微視的考察とが必要であろう。本発表は、その前者の一つに相当するものである。(後者については、2005年4月1日から『盛岡タイムス』における連日の連載を行いながらの考察を進めている。) 「視線の転回」においては、賢治短歌の少なくないものが、「近景から遠景」への視線転回を行っていることを、「比喩」においては、中村明の三分類〔指標・結合・文脈〕のうち、特に指標・結合比喩からの分類結果を示したいと思う。
宮沢賢治の短篇「竜と詩人」は、仏教の影響を受けていると考えられる作品である。
賢治の想像力は、日本を飛び越えてインドに達し、古代の伝説になぞらえたストーリーの中で、賢治の自画像と考えることができる老龍と若い詩人との会話を介して、自らの境遇と詩人としての自負を作品に込めた。
この作品には、「風がうたひ雲が応じ波が鳴らすそのうたをただちにうたふ」という〈心象スケッチ〉に通じるものや、創作の基本的な考え方につながる内容が明示されている。
そして、作品の最後の部分に登場する「赤い珠」に対する詩人の対応は、この作品の重要な要素の一つだと考える。この珠は、「思いがすべてかなえられるという如意宝珠」(『新宮澤賢治語彙辞典』)とされているが、ここでは、法華経の教えの根本、真理であろう。
この「赤い珠」に込められた賢治の想いとその深さについて論じたい。