今年の春季セミナーは夏に行われる「第三回宮沢賢治国際研究大会」のプレ企画として、「極東ビヂテリアン大祭〜宮沢賢治と温泉〜」と題して、場所も賢治ゆかりの花巻温泉で行われました。
花巻温泉はちょうど賢治の晩年に、当時の岩手財界の実力者である金田一国士(きんだいち・くにお)などが中心となって作られた、当時としては珍しい本格的なリゾート施設です。今もほぼそのままの土地で、いくつかのホテルを一つの企業が経営するという独特のスタイルで続いています。
賢治は山間に突然、資本の力で出現した、このリゾート施設のことを悪く書いたりしています。しかし建設にあたって、花壇作りに協力したりしていますので、必ずしも否定的には見ていなかったと思います。その花壇もバラ園になって、今もその場所にあります。
当日は新花巻駅まで花巻温泉のバスが迎えに来てくれました。会場は花巻温泉に入って一番手前のホテル「千秋閣」です。一階ロビーは結婚式などの客で賑わっていましたが、私たちは二階の会場にあがります。
最初の催しは「リゾートとしてのイーハトーブ」という題で、賢治と温泉に関する話題をとりあげたシンポジウムです。今では国際興業経営の花巻温泉というイメージですが、設立当初は宝塚に代表される、都会のリゾート施設をめざしていたということです。銀行、電力、電車などの当時の新鋭資本を一手に経営していた金田一国士の話は初めてで、興味深く聞きました。
温泉の話題では、当時は混浴であり、賢治がこれを嫌がっていたかどうか、などという話も出ました。
その後、夕刻にかけて、花巻温泉の大原氏の案内で、現在は閉鎖されている古い温泉旅館、「松雲閣」を見学しました。かつて天皇陛下も宿泊されたという、花巻温泉で一番由緒ある建物です。となりのバラ園に入って、ガラスでできた賢治の詩碑を見学したあと、釜淵の滝まで歩きました。雪解けの季節で滝の水量も多く、きれいでした。
千秋閣に帰って、雑穀メニューで懇親会です。アワ、ヒエなどの雑穀がおいしい料理になって、たくさん出されていました。花巻空港の近くにある金婚亭という漬物・雑穀を中心としたレストラン・みやげ物店の社長である阿部さんが、漬物や雑穀を売ってきた苦労話などをしてくださいました。その後の会食では、「雑穀」というのは差別的な用語か?などという話題があり、楽しく食べ、かつ飲みました。
翌日はその雑穀の話題を中心としたシンポジウムです。会場には雑穀の研究者である仲條さんが持ち込んだ雑穀についての資料が展示されています。安藤さんは雑穀メニューの食堂を二戸駅前で経営されている方です。岩手の食文化の話題などで盛り上がりました。
温泉とおいしい食事に恵まれた、楽しい催しでした。どうもありがとうございました。