Categories
総会

【会員向け】宮沢賢治学会イーハトーブセンター第32回総会は、文書協議とします

会員の皆様へ

 2021年度の宮沢賢治学会イーハトーブセンター第32回総会は、新型コロナウイルスの流行状況に鑑み、文書協議にて開催することとなりました。
 会員の皆様には、総会資料を郵送いたしましたので、議案への賛否やご意見の回答を、よろしくお願い申し上げます。
 郵送による回答は、9月30日の消印まで有効です。メール・FAX・ウェブフォームによる回答の締め切りは、9月30日の24時ですので、これまでにお願いいたします。

 ウェブフォームによる回答を選択される方は、下の「総会ウェブ回答ボタン」を押していただくと、回答用のフォームに移行しますので、必要事項を入力して、送信して下さい。(お一人の会員が、別の方法で重複して回答されないよう、ご注意をお願い申し上げます。)

総会ウェブ回答ボタン


 以下に、岡村民夫代表理事の総会挨拶を、掲載いたします。

宮沢賢治学会イーハトーブセンター第32回総会 代表理事挨拶

岡村 民夫

 みなさまにおかれましては、新型コロナウイルス感染症の問題に収束の兆しがなく、落ち着かない毎日をお過ごしのことと存じます。

 昨年度と同様、コロナ禍の状況にあって宮沢賢治学会イーハトーブセンターの総会を開催することができず、文書協議のかたちをとらざるを得なくなりましたが、時期を通常開催にほぼ合わせることができました。ご理解いただければ幸いでございます。

 委員会と理事会に関しましては、オンライン・システムを導入し、本年度は、概して対面会議によっていた時期以上に議論を密にすることができております。またホームページ委員会での度重なる検討を通し、宮沢賢治学会およびイーハトーブ館のホームページを刷新することができました。お気づきの点がございましたら、学会事務局までご意見をお寄せください。

 事業計画に関しましては、大きな変化として、ようやく今年度からオンライン配信によるセミナーを実施することができました。今後、セミナー・研究発表会等もオンラインでの実施を進めていく計画です。

 宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞の贈呈式を通常の日取りで開催できませんことは残念でありますが、コロナ禍の現状と市主催による宮沢賢治賞・イーハトーブ賞贈呈式の延期に合わせた措置としてご理解ください。

 特別会計の大幅収入減を補填する措置として、事務局および理事会で幾度も議論を重ねた末、過日お願い致しましたご寄付に関しまして、大変なご協力をいただきましたことを深く感謝致します。けれども一旦減少方向に向かいました感染者数が、この夏、爆発的に増加し、イーハトーブ館が再び休館せざるを得なくなりました。誠に心苦しいことですが、引き続きご寄付について通知することと判断いたしました。これはまったく任意のものでございますので、ご無理のない範囲でお受け止めくださるようお願い致します。

 最後になりましたが、みなさまのご健康、また、一日も早くみなさまと花巻市で再会できますことを祈念し、ご挨拶とさせていただきます。

Categories
お知らせ

9月25日(土)より、宮沢賢治イーハトーブ館を再開します

 新型コロナウイルスに関する「岩手県緊急事態宣言」が9月16日に解除されたことを受けて、8月14日から休館しておりました宮沢賢治イーハトーブ館は、9月25日(土)より開館いたします。
 感染対策には十分ご注意の上、またぜひ当館にお越し下さい。お待ち申し上げています。

 なお、引き続き感染予防のため、ご利用に当たっては下記の条件をお守りいただくよう、お願いいたします。

利用条件
  • 発熱や風邪の症状がある方の入場不可
  • マスクの着用、手指消毒を実施
  • 検温を行い37.5度以上の発熱者は入場制限
  • 入館者(代表)は住所・氏名・連絡先・入館人数を記入
  • 混雑状況によっては、入場人数を制限し、順路により距離を開けた観覧をお願いする場合があります

注)今後の感染状況により、変更することがあります。

(参考)9月25日から「レベル3」として開館する花巻市の施設

博物館、総合文化財センター、歴史民俗資料館、郷土文化保存伝承館、農業伝承館、宮沢賢治記念館、宮沢賢治イー ハトーブ館、花巻新渡戸記念館、高村光太郎記念館、萬鉄五郎記念美術館、早池峰と賢治の展示館、宮沢賢治童話村(ライトアップも25日以降の土日に実施)

 

Categories
お知らせ

ウェブサイトをリニューアルしました

 このたび、当センターのウェブサイトを一新しました。

 新たなURLは、

https://www.kenji.gr.jp/ で、従来のURLの「http」が、「https」に変わっています。旧URLからも転送されるように設定していますが、ブックマークをしていただいている方は、新URLに更新しておいて下さい。

新サイトの特徴

 今回の新しいサイトには、次のような特徴があります。

  1. スマートフォン表示対応
    • 端末の画面幅に応じて自動的にレイアウトが変更されるレスポンシブデザインを採用することにより、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなど様々な大きさの端末で、見やすい表示を実現しています。
  2. SSL認証への対応(https化)
    • 通信の暗号化により、閲覧者の個人情報が保護されます。
  3. 簡便でわかりゃすいメニュー構成
    • メインメニューは、「Home」「入会案内/会の紹介」「活動内容」「アーカイヴ」「宮沢賢治イーハトーブ館」「お問合せ」という6項目に整理し、各項目にマウスポインタを置くと、ドロップダウンでサブメニューが表示されます。
  4. 視覚に障害のある方にもやさしい表示
    • ヘッダー部分に、文字サイズや背景色の変更ボタンを搭載しました。
  5. 広報機能の充実
    • 当センターのイベントや告知事項を、トップページのスライドショーと新着情報欄に、わかりやすく表示します。新着情報の見出しは、詳しい広報記事にリンクしています。
  6. 資料集積機能の充実
新サイトこぼれ話
ヘッダーロゴについて

 各ページ上端のヘッダーにあるロゴマークの、賢治のシルエットを囲んでいるアーチ状の輪郭は、『春と修羅』初版本の、函の表面の図案から引用しています。

 ロゴマークの「宮沢賢治学会イーハトーブセンター」「宮沢賢治イーハトーブ館」の文字は、花巻市桜の賢治詩碑に高村光太郎が揮毫した文字を、翻案したものです。

トップページ「ポラーノの広場」について

 トップページに掲載している、賢治晩年の作品「ポラーノの広場」の一節は、当センター『会報』創刊号の「代表理事あいさつ」において、入沢康夫初代代表理事が、その精神を托す言葉として引用したものです。
 またそれに続く文章の、《広場》《情報センター》の語も、当センター創設時の「願い」を表す言葉として、「設立趣意書」に記されているものです。

 宮沢賢治学会イーハトーブセンター創立の思いを新たにするために、ここに再び掲げました。

 

Categories
宮沢賢治研究発表会

「第30回宮沢賢治研究発表会」のご案内(終了)

 新型コロナウイルス感染対策のため、本年度の第30回宮沢賢治研究発表会は、Zoomウェビナーによるオンライン方式で、下記のように開催します。
 当センターとしても初めての方法ですが、多くの方々のご参加をお待ちしています。

日時

2021年9月23日(木・祝) 13時開始
発表者お一人の持ち時間は30分で、発表を20分、質疑応答を10分とします。

方法

Zoomアプリを使用した、ウェビナー形式

参加申込み

 参加を希望される方は、下の「申込ボタン」を押下すると、「ウェビナー登録」の画面に移行しますので、必要事項をご入力下さい。
 ご入力いただいたメールアドレスに、「参加リンク」が記されたメールが送信されます。

参加方法

 視聴される方は、発表会当日までに、参加の際に使用する端末に、Zoomアプリをインストールしておいて下さい。(Zoomダウンロードセンター参照)
 当日は、その端末から、上記で送付された「参加リンク」をクリック(またはタップ)していただくと、発表会に接続されます。

第30回宮沢賢治発表会:  発表者・演題・要旨
中路 正恒 「森の答え ――村を開くことの許し」

要旨:
「狼森と笊森、盗森」には森の中の野原に入りそこで村を開こうとした百姓たちと森たちとの間のやりとりが実際どんな「言語」でなされたと考えられるかという問題が隠れている。森たちが実際に日本語の音声を通じて「いゝぞお」等の答えをしたとは考え難いからである。しかし百姓たちはほんとうに森の答えが聞きたかったに違いない。東南アジア研究はスラウェシ島ゴロンタロのある村の村開きの様子を伝えている。目星を付けた土地に向かう途中でまず鳥占いをし、吉と出れば目指す場所に行きそこに生えている幼木を引き抜く。根まで切れずに引き抜けたら森の神の許しが出たとされ、その後捧げものが供される。ここでは神の答えが森の生態を通じて明確に与えられている。「狼森…」では「いゝぞお」などの言葉による答えは暫定的なもので、ほんとうは童隠し、農具隠し、粟盗みなどの試練とその解決を通じて森の本当の答えが与えられたと読めるのではないか?

望月 善次 「宮澤トシの総合的考察(一)~ 鈴木竹松の略歴概要と作曲校歌の紹介を兼ねながら ~」

要旨:
 宮澤トシは、賢治の妹として賢治研究の中に小なくない位置を占めている。
 しかし、同時にトシの生涯は、「自省録」に現れている様に「賢治の妹」ということを越えた意味も有している、というのが発表者の見解である。トシの生涯が持つ意味は、山根知子等の先人によって拓かれて来たが、その考察は、ともすれば賢治(及びその作品)やトシの側から行われて来た。そうした考察に他からの観点を加えることによって更にその魅力の奥行は増すものと考えられる。今回は、その具体としてトシの「恋愛事件」の相手であった鈴木竹松の略歴紹介を、その作曲した校歌紹介と併せて行いたい。

 

Categories
お知らせ

「宮沢賢治イーハトーブ館」休館のお知らせ

 岩手県は、県内における新型コロナウイルス感染症が拡大していることに鑑み、新たな感染を強力に抑え込むため、8月12日に「岩手緊急事態宣言」を発令しました。
 花巻市では、同宣言の発令に伴い、8月14日から、市関連施設の利用制限を「レベル4」で運用することといたしました。

 これによって、花巻市の運営する「宮沢賢治イーハトーブ館」も、8月14日より休館させていただきます。

 また再開の際には、当サイトでお知らせさせていただきますので、いましばらくお待ち下さい。

【参考】新型コロナウイルス感染拡大による花巻市関連施設の利用制限ガイドライン
  • レベル1
    市内・県内の感染者は無い状況が続いた場合
    (レベル1へ移行す目安としては、市内・県内の感染者は0が続き、首都圏等で感染が少ない場合)
  • レベル2
    市内・県内の感染者は減少している場合
    (レベル2へ移行する目安としては、市内の感染者は0が続き、県内の感染者は一ケタ以下が続き、首都圏等で感染が減少している場合)
  • レベル3
    市内で感染拡大の恐れがある場合
    県内で感染拡大の恐れがある場合
    (市内において感染が若干あり、県内において感染が減少していない、または二ケタ以上の感染者がある場合)
  • レベル4
    緊急事態宣言が岩手県に発令された場合
    県内・市内で感染が拡大している場合
    市内で感染者が連続して発生している場合
Categories
イーハトーブ館企画展示

企画展「宮沢賢治とオノマトペ」を開催します

展示期間: 2021年8月7日(土)~11月17日(水)
時間: 8:30~17:00(最終日は16時までの予定)
会場: 宮沢賢治イーハトーブ館1階展示室

賢治の多彩なオノマトペ

 「オノマトペ(onomatopée)」とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、「擬音語と擬態語をまとめた言い方」(小野正弘主幹『現代新国語辞典』(三省堂))のことです。
 擬音語とは、実際に出ている音を言葉で表現するもので、「犬がワンワン吠える」の「ワンワン」がそれにあたります。
 これに対して擬態語は、音はしていない状態や感情について表現するもので、「ニコニコ笑う」「しーんと静まる」などがそうです。

 宮沢賢治は、その作品にオノマトペを多用したことで知られています。たとえば、童話「雪渡り」には、「キックキックトントン」というオノマトペが出てきます。子狐の紺三郎と、四郎とかん子という人間の子どもが出会い、堅く凍った雪の上で嬉しさのあまり踊り出す場面で使われていて、その後も繰り返し、みんながこれを歌うのです。かわいい響きによって、雪のきしみと軽やかに弾む足が目に浮かぶような効果を上げています。
 そのほか、賢治は「風の又三郎」の「どっどど どどうど どどうと どどう」、「やまなし」の「かぷかぷ」、「どんぐりと山猫」の「山がうるうるもりあがっている」など、これまで誰も使ったこともないような、たくさんの印象的なオノマトペを用いています。

 オノマトペは、賢治の作品世界をとても豊かにしているのです。

企画展「宮沢賢治とオノマトペ」について

 今回、宮沢賢治学会イーハトーブセンターは、2021年8月7日に、夏季セミナー「宮沢賢治とオノマトペ」を開催しましたが、同日から11月17日にかけて、企画展示「宮沢賢治とオノマトペ」も行っています。
 企画展示の内容は、8月7日のセミナーにおける講師4人のお話の紹介と、オノマトペが特徴的な宮沢賢治の様々な絵本の展示から、構成されています。

 詳しい内容は、以下の通りです。

小野正弘氏(明治大学教授)の講演:「ゆれる賢治オノマトペ「ちゃんと」「ぢっと/じっと」―」

 小野さんの講演では、賢治作品のオノマトペに見られる「ゆれ」について、詳しく解説されます。
 たとえば「ちゃんと」の場合、「ちゃんとやってきた」の「ちゃんと」は、「間違いなく」の意味(一般の情態副詞)ですが、「ちゃんと腰掛ける」の「ちゃんと」は、岩手の方言で「かしこまって・落ち着いて」の意味で使われています(方言的オノマトペ)。これは、「意味のゆれ」と言えます。
 その一方、賢治の童話では「ぢっと」と「じっと」が共存するなど、「表記のゆれ」も存在しています。
 このような「ゆれ」の様子からも、賢治のオノマトペの変幻自在さを垣間見ることができます。

竹田晃子氏(フェリス女学院大学/岩手大学非常勤講師)の講演:「宮沢賢治作品と同時期方言資料の比較―オノマトペを中心に―」

 賢治の作品では、オノマトペが頻繁かつ効果的に使用されているのですが、とりわけ方言的な要素を含んだオノマトペが、多く見られます。この竹田さんの講演では、賢治が生きた時代の方言資料を克明に参照しながら、賢治の作品中の方言オノマトペが分析されます。
 たとえば、当時の岩手方言では、オノマトペを使って自動詞を作る接尾辞「~メク」と、他動詞を作る接尾辞「~メカス」が多用されていたのですが、賢治作品において、この「メク類」と「メカス類」の接尾辞が、がどのように用いられているかという調査の結果が、紹介されます。

川崎めぐみ氏(名古屋学院大学商学部准教授)の講演:「『聴耳草子』と賢治のオノマトペ表現の比較―」

 賢治と交流があった、佐々木喜善という岩手の作家・民俗学者がいます。喜善は、柳田国男『遠野物語』の語り部として知られ、「日本のグリム」とも言われるほどの昔話の採集者でもありました。彼の著書『聴耳草子』は、1931(昭和6)年に刊行されたもので、青森・岩手・秋田・宮城各県の昔話を採録しています。
 この川崎さんの講演では、佐々木喜善の『聴耳草子』に見られるオノマトペを紹介しつつ、賢治作品のオノマトペとの比較が行われます。架空の世界を形作る舞台装置として、賢治はイメージ喚起力のあるオノマトペを多用したのではないか、という興味深い指摘もなされています。

栗原敦氏(実践女子大学名誉教授)の講演:「宮沢賢治と中原中也―オノマトペをめぐって―」

 詩人の中原中也は、賢治より11歳年下で、1907(明治40)年生まれです。賢治が中也に言及した痕跡はみつかりませんが、中也は賢治の『春と修羅』を愛読していて、「宮沢賢治の詩」という評論(昭和10年6月)を発表するなど、賢治の影響を受けていました。
 この栗原さんの講演では、賢治と中也の詩に表現されたオノマトペが、比較されます。賢治は、童話だけでなく詩にもオノマトペを多用した一方、中也は賢治ほど多用していないものの、効果的にオノマトペを使用していることが、豊富な実例とともに興味深く紹介されます。

絵本展示

 「雪渡り」「やまなし」「注文の多い料理店」「なめとこ山の熊」「オツベルと象」など、オノマトペを特徴的に使用している賢治童話の絵本が、数多く展示されています。
 なお、展示されている絵本は、館の売店で購入することもできます。