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宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞

宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞が決定しました

宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞

若尾 紀夫 様

宮沢賢治の盛岡高等農林学校時代の教員の研究テーマや賢治との交流を調査し、同窓生の証言を集め、2006年から同窓会「北水会」会報に連載し、「北水会」発足百周年の21年に『同窓生が語る宮澤賢治』に集成した功績に対して。

【選考理由】
 若尾紀夫氏は、宮沢賢治の盛岡高等農林学校時代の教員の研究テーマや賢治との交流を調査し、同窓生の証言を集め、2006年から同窓会「北水会」会報に連載し、同窓会発足百周年の21年に『同窓生が語る宮澤賢治 盛岡高等農林学校と宮澤賢治 120年のタイムスリップ』に集成した。多くの教員の事績や卒業生間の交流を広く紹介する他に、開校の経緯を押さえ、当時の施設や教材の写真を充実させている。賢治にとどまらず盛岡高等農林学校の歴史的意義を整理した功績はイーハトーブセンター功労賞にふさわしい。

贈呈式について

 賞贈呈式は、令和4年9月22日(木曜)午前10時より、花巻市定住交流センター(なはんプラザCOMSホール)で開催します。

 贈呈式の詳細については、後日、改めてお知らせいたします。

宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞について

宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞の過去の受賞者

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宮沢賢治賞・イーハトーブ賞

宮沢賢治賞・イーハトーブ賞、各奨励賞が決定しました

 2022年度の第32回宮沢賢治賞・イーハトーブ賞と、各奨励賞の受賞者が、下記のように決定しました。
 賞の贈呈式は、3年ぶりに花巻市のなはんプラザで、9月22日に開催する予定です。

宮沢賢治賞

栗原 敦 様

宮沢賢治の思想と事績と表現に関して綿密に調査し誠実に考察した論稿を、2021年に『宮沢賢治探究』上下二巻に集成し、賢治研究が多様に生まれ続ける中、実証と思索の統合が重要であることを示した業績に対して。

【選考理由】
 本賞の栗原敦氏は、宮沢賢治の思想と事績と表現に関して、綿密に調査し誠実に考察した論稿を、2021年に『宮沢賢治探究』(上巻「思索と信仰」、下巻「表現の論理」)に集成した。賢治と同時代の思想を広く参照し、賢治をめぐる家族・関係者・研究者に関する証言は貴重で、膨大な草稿に向き合い、年譜や事典の恣意的な記述や解釈を厳しく剔抉している。その上で、作品中の悲しみを抱える者への共感性が、思想や事績にも通底していることを指摘した。多様な様式で生まれ続ける賢治研究において、実証と考察を統合することの重要性を示した業績は宮沢賢治賞にふさわしい。

宮沢賢治賞奨励賞

朗読劇『銀河鉄道の夜』制作チーム(代表=古川 日出男)+ 監督・河合 宏樹 様

東日本大震災の2011年の12月から各地で上演した朗読劇「銀河鉄道の夜」を、コロナ禍中の21年に無観客野外朗読劇「映像作品「コロナ時代の銀河」」として映像化し、YouTubeで無料配信した功績に対して。

【選考理由】
 奨励賞の朗読劇『銀河鉄道の夜』制作チーム(代表・古川日出男)+ 監督・河合宏樹氏は、東日本大震災後の2011年12月から各地で上演した多声的な朗読劇「銀河鉄道の夜」を、コロナ禍中の21年3月に改訂し、無観客野外朗読劇「コロナ時代の銀河」として映像化し、YouTubeで無料配信した。タイタニック号の乗客とカムパネルラに訪れた悲劇と、現代に訪れた困難を重ね、廃校の校舎から校庭へと開放されていく空間において、多声を越え鎮魂と希望のために連帯する方途を示した功績は賢治賞奨励賞にふさわしい。

イーハトーブ賞

人形劇団プーク 様

宮沢賢治生前の1929年に人形劇団を創設し、48年の再建第一作に「オッペルと象」を公演し、53年には長編人形映画「セロ弾きのゴーシュ」を制作し、節目ごとに「オッペルと象」を再演してきた営為に対して。

【選考理由】
 本賞の人形劇団プーク氏は、宮沢賢治生前の1929年に創設された人形劇団で、48年の再建第一作に、農民に寄り添う姿勢に共鳴し、「オッペルと象」を選んだ。53年には長篇人形映画「セロ弾きのゴーシュ」を制作し、第一回東南アジア映画祭特別賞を受賞している。多彩な人形を操り、人間も舞台に上がり、音楽を活用し、71年には専用劇場も開設した。その後も「オッペルと象」を節目ごとに再演してきた営為はイーハトーブ賞にふさわしい。2019年(劇団創設90周年)からの再演は脚本・演出を一新し、本年1月に千秋楽を迎えた。

イーハトーブ賞奨励賞

アザリア奇譚部 様

宮沢賢治が盛岡高等農林学校時代に参加した同人誌『アザリア』の、同人13名の交流を2015年から紹介し、17年には『アザリア』創刊百周年記念展を企画し、コロナ禍中の21年にはYouTubeラジオで発信してきた営為に対して。

【選考理由】
 奨励賞のアザリア奇譚部氏は、宮沢賢治が盛岡高等農林学校時代に参加した同人誌『アザリア』の、同人13名それぞれの人物像と彼らの交流に注目してきた。その賢治を巻き込む青春群像を、2015年からコミック『アザリアの咲いた本』(全5巻)で紹介し、17年にはそれぞれの遺族の協力を得て『アザリア』創刊百周年記念展を企画し、コロナ禍中の21年にも「アザリア奇譚部」名義のYouTubeラジオで発信してきた。賢治の新しい魅力を軽快なフットワークで発信した功績はイーハトーブ賞奨励賞にふさわしい。

贈呈式について

 賞贈呈式は、令和4年9月22日(木曜)午前10時より、花巻市定住交流センター(なはんプラザCOMSホール)で開催します。

 贈呈式の詳細については、後日、改めてお知らせいたします。

宮沢賢治賞・イーハトーブ賞について

宮沢賢治賞・イーハトーブ賞の過去の受賞者

 

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宮沢賢治研究発表会

【会員向け】宮沢賢治研究発表会の発表者を募集しています

 来たる9月23日に、定期大会のプログラムの一つとして、宮沢賢治研究発表会を下記の要領で開催いたします。ここに、その発表者を募集いたしますので、皆さま奮ってご応募下さい。
 発表者の旅費は、原則として各自ご負担願います。なお、ご事情によっては旅費を支給できる場合もありますので、事務局までご相談ください。

期日

2022年9月23日(金・祝)
午前10時00分~(発表者数の関係で変更あり)

会場

宮沢賢治イーハトーブ館 ホール(200席)/またはZoom等によるオンライン開催/または両者の併用
※新型コロナウイルス感染拡大状況により、入場制限をする場合があります。

発表場所

会場での発表、もしくはオンライン発表

発表時間

発表時間20分、質疑時間10分とし、1人(1件)の持ち時間を30分とします。
※ただし、質疑は会場あるいは司会者からのみ受け付けます。

発表者数

会場と時間の都合で人数を限らせていただくことがあります。

申し込み方法

申し込みフォームに必要事項を記入して送信していただくか、こちらから申し込み用紙をダウンロードし、記入して当センター事務局まで郵送して下さい。

締め切り

2022年7月31日(事務局必着)

申し込み先

宮沢賢治学会イーハトーブセンター
〒025-0014 岩手県花巻市高松1-1-1
電話:0198-31-2116 ファックス:0198-31-2132
mail :kenji.info@kenji.gr.jp

選考

応募は、本会の会員に限ります。
発表者は、定期大会実行委員会において選考させていただきます。なお、原則として応募者の発表は2年連続までとします。

宿泊

お手数ですが、各自手配願います。

宮沢賢治研究発表会 発表申し込みフォームへ

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イーハトーブ館企画展示

企画展「宮沢賢治─沢村澄子 現象的書展」を開催します


上画像をクリックすると、チラシが表示されます

第29回宮沢賢治賞奨励賞を受賞した沢村澄子が
宮沢賢治作品を書にしました。
手のひらに乗る小品から、壁一面の大作まで。
その書から様々な表情の宮沢賢治をご覧いただけるでしょう。
館内のみならず、野外にもユニークなインスタレーション作品が展開されます。

展示期間: 2022年7月2日(土)~10月10日(月)
時間: 8:30~17:00
会場: 宮沢賢治イーハトーブ館 1階展示場 ほか
主催:宮沢賢治イーハトーブ館/宮沢賢治学会イーハトーブセンター

「宮沢賢治─沢村澄子 現象的書展」

 「雲はなぜあんなに美しいのだろう……」

 35年前、盛岡に移住した沢村は、よく道に佇みその雲を眺めたといいます。時々の気温や湿度や風向きなどの、現象結果として生まれる雲……。
 ついに、「雲は何も表現していないから美しいのだ」とわかった時、沢村の現象的書作は始まりました。

 沢村は一貫して、〝場〟を重視した制作を続けています。今展でも、天井が高く凸凹のある展示場の特性や、館外の緑や風と、書はどのように呼応するでしょうか。
 宮沢賢治イーハトーブ館で初めてとなるこの書展は、ユニークで新鮮な空間性を提示することでしょう。

 宮沢賢治作品が、活字から手書き文字になることにより、新たな表情や意味合いを持ち始め、その書からこれまでに聞いたことのない賢治の音が、聞こえてくるかもしれません。

【沢村澄子略歴】

1962年大阪生まれ。新潟大学教育学部特設書道科卒業。高等学校、岩手大学の非常勤講師を経て、制作に専念。100回を超える個展を開催する。
2001年度岩手県美術選奨、2019年には第29回宮沢賢治賞奨励賞を、共に書の分野から初めて受賞。
書の概念を壊し、その本質を問う様々な活動は、野外インスタレーションにまでおよぶ。エッセイ、評論など執筆多数。

関連イベント

沢村澄子 子ども向けワークショップ
「賢治さんのダンボール箱つみき」

2020年7月23日(土) 13:30~16:30

  • 小学生~中学生対象
  • ダンボールに賢治作品などを書き、会場内に積んで共同立体作品とします。
  • 必要な材料はこちらで準備いたしますが、お好みの箱をお持ち下さっても結構です。
  • 墨や絵具を使用しますので、汚れてもよい服装でいらして下さい。
沢村澄子による屋外での公開制作

2022年8月27日(土) 13:30~

  • 講演「宮沢賢治と書 ライフ・オブ・ラインズ」
     岡村民夫(宮沢賢治学会イーハトーブセンター代表理事)
  • 質疑応答
    • 雨天の場合は屋内で行います

 

関連イベントの参加申し込みは、宮沢賢治学会イーハトーブセンター事務局まで。
電話: 0198-31-2116 FAX: 0198-31-2132 Mail: kenji.info@kenji.gr.jp

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イーハトーブ館企画展示

「宮沢賢治とエスペラント展」の図録を販売しています

 宮沢賢治イーハトーブ館では、現在同館で開催中の企画展示「宮沢賢治とエスペラント展」の図録を、1冊500円で販売しています。企画展における全ての展示パネルを収録したもので、全30ページです。
 また、下記の図録注文ページからは、ウェブ上で注文していただくこともできます。

 展示見学の記念に、またご覧になれなかった方も、ぜひお買い求め下さい。

企画展図録注文フォームへ

「宮沢賢治とエスペラント展」図録表紙

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宮沢賢治セミナー

4/23に、春季セミナー「高畑勲の遺したもの―宮沢賢治をめぐって」を開催します

第25回(2015年)イーハトーブ賞受賞者・高畑勲(1935-2018)追悼特別企画
宮沢賢治学会イーハトーブセンター 2022年度春季セミナー

日時: 2022年4月23日(土) 受付:13時 開始:13時30分
場所: 宮沢賢治イーハトーブ館 ホール

[タイムスケジュール]
13:30~14:40
 高畑勲監督作品「セロ弾きのゴーシュ」鑑賞(所要時間 63分)
14:50~15:50 岡村民夫講演「高畑勲が日本のアニメーションと賢治映画に遺したもの」
15:50~16:50 なみきたかし講演「アニメーション映画「セロ弾きのゴーシュ」制作秘話」
16:50~17:10 質疑応答

  • 新型コロナウイルス感染症の流行状況によっては、当日に入場制限を行う場合がありますので、ご了承を願います。
  • 懇親会は、新型コロナウイルスの流行状況に鑑み、中止とさせていただきます。

春季セミナー「高畑勲の遺したもの ── 宮沢賢治をめぐって」

 日本のアニメーション界における高畑勲氏の偉大な功績は、今更ここでご紹介するまでもありません。1960年代から、高畑氏はアニメーション表現に常に新たな境地を切り拓いてこられ、とりわけ宮崎駿氏とともに設立したスタジオジブリで制作した数々のアニメーション映画は、現代日本文化の至宝ともなっています。

 また高畑氏は、宮沢賢治に関する造詣が深かったことでも有名ですが、その出会いは、8歳か9歳の頃に賢治の童話を初めて読んだことに始まるということです。
 1982年に公開されたアニメ映画「セロ弾きのゴーシュ」では、賢治の物語世界を、生き生きと優しく造形して見せてくれました。その後も、賢治と響き合う様々なモチーフをその表現に生かし、なかでも1994年の映画「平成狸合戦ぽんぽこ」は、高畑氏自身が”宮沢賢治へのオマージュである”と述べているように、作中には「星めぐり」「どっどど どどうど どどうど どどう」などの言葉が登場します。
 東日本大震災後は、賢治のふるさと花巻市で開催される「イーハトーブ・フェスティバル」の創設にも尽力され、毎年のように花巻に足を運んで下さいました。

 このような高畑勲氏の活動に対して、花巻市は2015年に「イーハトーブ賞」を贈呈し、その多大な業績を顕彰しています。9月に行われた同賞の受賞講演では、賢治への深い愛を語って下さいました。
 2017年に肺がんの手術を受けられてからも、映画の制作に情熱を燃やし、各地での講演などにも奔走されましたが、2018年4月に、惜しくも逝去されました。

 さて、今回の春季セミナー「高畑勲氏の遺したもの──宮沢賢治をめぐって」では、公開から40年を経て今なお瑞々しい感性が際立つ、高畑監督の記念碑的作品「セロ弾きのゴーシュ」を鑑賞します。
 そして、岡村民夫氏と、なみきたかし氏のお二人の講演により、高畑勲という稀有な才能によって開拓された映像表現の領野を展望するとともに、その制作の秘密にも迫ります。講演後には、質疑応答の時間も準備しています。

 コロナ禍の中ではありますが、皆様のご参加をお待ちしております。

講師略歴
  • 岡村民夫(おかむら・たみお)
    1961年横浜市生まれ。宮沢賢治学会イーハトーブセンター代表理事。宮沢賢治イーハトーブ館館長。法政大学国際文化学部教授(表象文化論)。表象文化論学会会員。アニドウ会員。
    文学、映画、思想などを「場所」という角度から研究している。
    著書に『旅するニーチェ リゾートの哲学』(白水社、2004)、『イーハトーブ温泉学』(みすず書房、2008)、『柳田国男のスイス――渡欧体験と一国民俗学』(森話社、2013)、『立原道造――故郷を建てる詩人』(水声社、2018)、『宮沢賢治論 心象の大地へ』(七月社、2020)ほか。訳書にマルグリット・デュラス/ドミニク・ノゲーズ『デュラス、映画を語る』(みすず書房、2003)、ジル・ドゥルーズ『シネマ2*時間イメージ』(共訳、法政大学出版局、2006)、ステファヌ・ルルー『シネアスト宮崎駿――奇異なもののポエジー』(みすず書房、2020)、同『シネアスト高畑勲――アニメの現代生【ルビ:モデルニテ】』(みすず書房、2022)ほか。
  • なみきたかし
    1952年埼玉県生まれ。アニメーターの団体「アニドウ」へ参加する。東映動画スタジオでの撮影助手を経て、1973年にオープロダクションへ入社し、「アルプスの少女ハイジ」「ゲッターロボ」等のアニメーターとして働く。1983年には「セロ弾きのゴーシュ」の作画も担い、完成後は広報担当となる。1984年には出版社アニドウ・フィルムを設立し、「世界アニメーション映画史」(1986)「もりやすじ画集」(1993)などを出版し定評を得る。
    2006年からは急逝した前社長村田耕一の跡を継いでオープロダクションを率いて、現在も「ちびまる子ちゃん」などのTVアニメ制作を続けている。
    「セロ弾きのゴーシュ」は新たに4Kリマスターを進め、DCPなどのデジタル化によって次世代へ向けた新たな魅力を備える作品として生まれ変わり、フランス、ドイツ、ポルトガル、モロッコ、イタリアなど各国で上映されている。
高畑勲氏の主な作品

「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968, 監督・演出)
「アルプスの少女ハイジ」(1974,1975,1979, 総監督・演出)
「母をたずねて三千里」(1976,1980, 監督・演出)
「未来少年コナン」(1978, 演出・絵コンテ)
「赤毛のアン」(1979, 監督・演出・脚本)
「じゃりン子チエ(劇場版)」(1981, 監督・脚本)
「セロ弾きのゴーシュ」(1982, 監督・脚本)
「風の谷のナウシカ」(1984, プロデューサー)
「天空の城ラピュタ」(1986, プロデューサー)
「柳川掘割物語」(1987, 監督・脚本)
「火垂るの墓」(1988, 監督・脚本)
「魔女の宅急便」(1989, 音楽演出)
「おもひでぽろぽろ」(1991, 監督・脚本)
「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994, 監督・原作・脚本)
「ホーホケキョ となりの山田くん」(1999, 監督・脚本)
「かぐや姫の物語」(2013, 監督・脚本・原案)

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イーハトーブ館企画展示

企画展「宮沢賢治とエスペラント展」を開催します

展示期間: 2022年4月2日(土)~6月27日(月)
時間: 8:30~17:00
会場: 宮沢賢治イーハトーブ館 1階展示場
監修: 大沢正善・大野眞男・岡村民夫・佐藤竜一
後援: 一般財団法人 日本エスペラント協会

宮沢賢治とエスペラント展 ~Kenji Miyazawa kaj ESPERANTO~

 エスペラントとは、1887年にポーランドの眼科医ザメンホフが発表した人工国際語です。
 当時のポーランドはロシアの支配下にあり、ポーランド人、ドイツ人、ロシア人などが入り乱れて住んでいて、民族間の争いが絶えませんでした。そうした現実を見て育ったザメンホフは、言語が異なるために意思疎通がうまくいかないことが、それらの不幸の要因なのではないかと考えるに至りました。そして多くの言語を学び、学びやすい言語として創り出したのが、エスペラントです。

 世界の平和を願ったエスペラントの理想に共鳴して、日本でも多くの人びとがエスペラントを学びましたが、宮沢賢治もその一人でした。

 今回の展示では、日本エスペラント協会の後援を得て、エスペラントの成り立ちや、日本での普及、宮沢賢治がエスペラントを独習した背景、新渡戸稲造や佐々木喜善、柳田国男、ラムステッドら、直接・間接に賢治に影響を与えた人物の紹介を行います。また、エスペラント詩稿や「ポラーノの広場」といった宮沢賢治作品の解説、エスペラント愛称がついたJR釜石線の由来などを網羅するとともに、エスペラントは今どういう普及状況にあるかまで、広範に紹介します。
 会場には、二葉亭四迷『世界語』など、日本エスペラント協会から貸与していただいた関連本を展示し、YouTubeでのエスペラント紹介コーナーを設けるほか、パンフレットも用意して、エスペラントについて全く知らない人にも、楽しめるよう工夫いたしました。

 また、会場では当企画展示の図録を1冊500円で販売しています。企画展における全ての展示パネルを収録したもので、全30ページです。
 下記のリンクからは、当サイトのウェブフォームから、図録を注文をしていただくこともできます。

企画展図録注文フォームへ

 多数の皆様のご来場を、お待ちしています。

展示の細目(タイトル・執筆者)
  • 宮沢賢治とエスペラント 関連年譜
  • エスペラントの誕生と日本への普及(佐藤竜一)
  • 田鎖綱紀と宮沢賢治(佐藤竜一)
  • 佐々木喜善 ザシキワラシとエスペラント(1)(岡村民夫)
  • 柳田国男 ザシキワラシとエスペラント(2)(岡村民夫)
  • 「一九三一年度極東ビヂテリアン大会」と「ポラーノの広場」(岡村民夫)
  • 宮沢賢治とラムステッド(大野眞男)
  • 宮沢賢治の「エスペラント詩稿」(大沢正善)
  • JR釜石線とエスペラント愛称(佐藤竜一)
  • 宮沢賢治作品のエスペラント訳(佐藤竜一)
  • エスペラントは今(佐藤竜一)
展示書籍一覧

 日本エスペラント協会から貸与していただいた、下記の24冊の関連本を展示しています。

書籍名 著者名 発行所 刊行年
Международный языкъ: Предисловіе и полный учебникъ Дръ Эсперанто Типо-Литографія Х. Кельтера 1887
Esperanto Grammar & Commentary Goerge Cox British Esperanto Association 1906
世界語(エスペラント) 長谷川二葉亭 彩雲閣 1906
世界語エスペラント 丸山順太郎、エドワルド・ガントレット 有楽社 1906
エスペラント全程 千布利雄 日本エスペラント学会 1914
大成エスペラント和訳辞典 中村精男、黒板勝美、千布利雄 日本エスペラント社 1914
Japana esperantisto
日本エスペラント
なし 日本エスペラント協会 1916
Verkaro de D-o L.L. Zamenhof:
ザメンホフ全集
[L.L. Zamenhof] 世界語書院 1916
Himnaro esperanta Montagu C. Butler British Esperanto Association 1921
エスペラント作詩法講義 小坂狷二 日本エスペラント社 1922
Internacia kantaro Paul Bennemann Ferdinand Hirt & Sohn 1922
Memlernanto de Esperanto
模範エスペラント独習
小坂狷二、秋田雨雀 叢文閣 1923
新撰エス和辞典 なし 日本エスペラント学会 1926
エスペラント捷径 小坂狷二 日本エスペラント学会 1927
労農エスペラント講習書 大田黒年男 イスクラ閣 1928
Originala verkaro L.L. Zamenhof Ferdinand Hirt & Sohn 1929
Internacia kantaro: muzika eldono Paul Bennemann Ferdinand Hirt & Sohn 1930
El japana literaturo: Meizi-epoko–antaŭ la dua mondomilito (1868-1945)日本文学作品集 宮本正男・石黒彰彦 編 日本エスペラント学会 1965
La ĝemelaj steloj
双子の星:宮沢賢治作品集
宮沢賢治 著、柴山純一ほか 訳 日本エスペラント学会 1984
Gooŝ la ’ĉelisto
セロ弾きのゴーシュ(宮澤賢治童話集)
宮澤賢治 著、野島安太郎 訳 日本エスペラント図書刊行会 1991
Nokto de la galaksia fervojo
銀河鉄道の夜(宮澤賢治童話集)
宮澤賢治 著、小西岳 訳 日本エスペラント図書刊行会 1994
エスペラント対訳宮沢賢治童話集 宮沢賢治 著、小西岳 訳 日本エスペラント図書刊行会 2000
Japana literatura juvelaro
日本文学エスペラント作品集
川西徹郎 編 日本エスペラント協会 2013
虔十公園林 宮沢賢治 作、末吉陽子 絵
松田周次・藤巻謙一 エスペラント翻訳
budori 2014

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宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞

【会員向け】第7回宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞 推薦のお願い

会員各位

宮沢賢治学会イーハトーブセンター
代表理事 岡村 民夫
賞選考委員長 大沢 正善

 宮沢賢治学会イーハトーブセンターでは、2022年度「第7回宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞」の候補者の推薦を、ページ下部のボタンから表示される専用フォームにて、会員の皆様から受け付けております。
 推薦の締め切りは、2022年4月30日です。

 2016年度に創設された「宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞」は、花巻市が主催する「宮沢賢治賞・イーハトーブ賞」とは別に、当センターが独自に設けた賞です。宮沢賢治とその作品に触発された研究活動ならびに普及において、多年にわたる功績のある個人または団体を、広く対象としています。
 ご推薦いただいた全ての候補者は、当センターの賞選考委員会において、厳正な審査の対象とさせていただきます。

 本年も、会員の皆様からの幅広いご推薦を、お願い申し上げます。

【主催者】 宮沢賢治学会イーハトーブセンター
【選考】 宮沢賢治学会イーハトーブセンター賞選考委員会
【選考方法】 会員から推薦された個人・団体を、選考委員会にて選考し、理事会が決定する。
【選考対象 および基準】 宮沢賢治の人と作品や精神の普及または研究の推進に寄与する活動(花巻市が主催するイーハトーブ賞の基準となる実践的な活動を除く)を行っている個人または愛好団体・研究団体等の団体。
【表彰式】 定期大会において、代表理事が賞状および副賞を授与する。
推薦用件
推薦方法

 下のボタンを押すと表示される専用フォームに入力していただくか、当センターから会員のお手元に郵送される「推薦票」に記入して返送して下さい。

宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞 推薦フォーム

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宮沢賢治賞・イーハトーブ賞

【会員向け】第32回宮沢賢治賞・イーハトーブ賞 推薦のお願い

会員各位

宮沢賢治学会イーハトーブセンター
代表理事 岡村 民夫
賞選考委員長 大沢 正善

 宮沢賢治学会イーハトーブセンターでは、2022年度「第32回宮沢賢治賞・イーハトーブ賞」の候補者の推薦を、ページ下部のボタンから表示される専用フォームにて、会員の皆様から受け付けております。
 本年も、宮沢賢治の名において顕彰するにふさわしい様々な活動に関する情報を、広くお寄せいただきますようお願い申し上げます。締め切りは、2022年4月30日です。

 ご推薦いただいた全ての候補者は、当センターの賞選考委員会において、厳正な審査の対象とさせていただきます。

「宮沢賢治賞」について

 「宮沢賢治賞」は、宮沢賢治に関する優れた研究・評論・創作などを毎年顕彰するために、花巻市が1991年に創設した賞です。
 その選考は、宮沢賢治学会イーハトーブセンターに委嘱されています。
 本賞に準ずるものとして、「奨励賞」も設けられています。

 毎年9月22日の宮沢賢治学会イーハトーブセンター定期大会において、授賞式と記念講演が行われます。

【主催者】 花 巻 市
【選 考】 宮沢賢治学会イーハトーブセンター
【選考方法】 会員からの推薦(所定の用紙)にもとづき、賞選考委員会が選考し、理事会の承認を経て花巻市長に答申する。
【選考対象及び基準】 宮沢賢治の名において顕彰されるにふさわしい研究・評論・創作など。おおむね過去3年以内に発表されたものを対象とする。なお、本賞に準ずるものとして奨励賞を置く。
【贈賞式】 宮沢賢治学会イーハトーブセンターの総会の同日・同会場において行う。
【賞・賞金】 本 賞 賞状、正賞、副賞(百万円)。
奨励賞 賞状、記念品、副賞(三十万円)。
「イーハトーブ賞」について

 「イーハトーブ賞」は、宮沢賢治の精神を体現する優れた実践的な活動を毎年顕彰するために、1991年に花巻市が創設した賞です。
 その選考は、宮沢賢治学会イーハトーブセンターに委嘱されています。
 本賞に準ずるものとして、「奨励賞」も設けられています。

 毎年9月22日の宮沢賢治学会イーハトーブセンター定期大会において、授賞式と記念講演が行われます。

【主催者】 花 巻 市
【選 考】 宮沢賢治学会イーハトーブセンター
【選考方法】 会員からの推薦(所定の用紙)にもとづき、賞選考委員会が選考し、理事会の承認を経て花巻市長に答申する。
【選考対象及び基準】 宮沢賢治の名において顕彰されるにふさわしい実践的な活動を行った個人または団体。なお、本賞に準ずるものとして奨励賞を置く。
【贈賞式】 宮沢賢治学会イーハトーブセンターの総会の同日・同会場において行う。
【賞・賞金】 本 賞 賞状、正賞、副賞(百万円)。
奨励賞 賞状、記念品、副賞(三十万円)。
推薦要件
  • 推薦対象の業績および刊行物は、2022年3月31日までのものといたします。
  • 現職理事は、授賞の対象から除外いたします。
  • 自薦は認めません。
  • 推薦の締め切りは、2022年4月30日です。
  • 過去の受賞者については、「宮沢賢治賞・イーハトーブ賞受賞者一覧」のページをご参照下さい。
推薦方法

 下のボタンを押すと表示される専用フォームに入力していただくか、当センターから会員のお手元に郵送される「推薦票」に記入して返送して下さい。

宮沢賢治賞・イーハトーブ賞 推薦フォーム

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イーハトーブ館企画展示

企画展「賢治さんの世界を描く絵画展」を開催します

展示期間: 2022年1月22日(土)~3月31日(木)
時間: 8:30~17:00
会場: 宮沢賢治イーハトーブ館1階展示室

賢治さんの世界を描く絵画展

 当館では、2020年11月から12月にかけて、宮沢賢治学会イーハトーブセンター設立30周年記念企画展示として、「イーハトーブ花巻・賢治さんの世界を描く絵画展」を開催し、大変好評を博しました。
 今回はその第2回として、花巻市立花巻小学校と花巻市立南城小学校の児童の皆さんが、学校活動の中で制作した絵画・版画作品の約100点を、展示しています。

 館内には、学術的な展示の際には聞くことのできないような、子どもたちの元気な声が響きわたり、可愛らしい作品が並ぶ展示場は、いつになく明るく賑やかです。

 花巻小学校は第1回宮沢賢治イーハトーブセンター功労賞を、南城小学校は第4回宮沢賢治イーハトーブセンター功労賞をお受けくださったご縁で、2020年に引き続きご協力いただきました。
 1月15日および1月29日には、会場でワークショップを開催し、12名の参加者による作品と、ワークショップの様子を紹介するパネル展示も加わる予定です。

 多数の皆様のご来館を、お待ちしております。