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宮沢賢治研究発表会

「第30回宮沢賢治研究発表会」のご案内(終了)

 新型コロナウイルス感染対策のため、本年度の第30回宮沢賢治研究発表会は、Zoomウェビナーによるオンライン方式で、下記のように開催します。
 当センターとしても初めての方法ですが、多くの方々のご参加をお待ちしています。

日時

2021年9月23日(木・祝) 13時開始
発表者お一人の持ち時間は30分で、発表を20分、質疑応答を10分とします。

方法

Zoomアプリを使用した、ウェビナー形式

参加申込み

 参加を希望される方は、下の「申込ボタン」を押下すると、「ウェビナー登録」の画面に移行しますので、必要事項をご入力下さい。
 ご入力いただいたメールアドレスに、「参加リンク」が記されたメールが送信されます。

参加方法

 視聴される方は、発表会当日までに、参加の際に使用する端末に、Zoomアプリをインストールしておいて下さい。(Zoomダウンロードセンター参照)
 当日は、その端末から、上記で送付された「参加リンク」をクリック(またはタップ)していただくと、発表会に接続されます。

第30回宮沢賢治発表会:  発表者・演題・要旨
中路 正恒 「森の答え ――村を開くことの許し」

要旨:
「狼森と笊森、盗森」には森の中の野原に入りそこで村を開こうとした百姓たちと森たちとの間のやりとりが実際どんな「言語」でなされたと考えられるかという問題が隠れている。森たちが実際に日本語の音声を通じて「いゝぞお」等の答えをしたとは考え難いからである。しかし百姓たちはほんとうに森の答えが聞きたかったに違いない。東南アジア研究はスラウェシ島ゴロンタロのある村の村開きの様子を伝えている。目星を付けた土地に向かう途中でまず鳥占いをし、吉と出れば目指す場所に行きそこに生えている幼木を引き抜く。根まで切れずに引き抜けたら森の神の許しが出たとされ、その後捧げものが供される。ここでは神の答えが森の生態を通じて明確に与えられている。「狼森…」では「いゝぞお」などの言葉による答えは暫定的なもので、ほんとうは童隠し、農具隠し、粟盗みなどの試練とその解決を通じて森の本当の答えが与えられたと読めるのではないか?

望月 善次 「宮澤トシの総合的考察(一)~ 鈴木竹松の略歴概要と作曲校歌の紹介を兼ねながら ~」

要旨:
 宮澤トシは、賢治の妹として賢治研究の中に小なくない位置を占めている。
 しかし、同時にトシの生涯は、「自省録」に現れている様に「賢治の妹」ということを越えた意味も有している、というのが発表者の見解である。トシの生涯が持つ意味は、山根知子等の先人によって拓かれて来たが、その考察は、ともすれば賢治(及びその作品)やトシの側から行われて来た。そうした考察に他からの観点を加えることによって更にその魅力の奥行は増すものと考えられる。今回は、その具体としてトシの「恋愛事件」の相手であった鈴木竹松の略歴紹介を、その作曲した校歌紹介と併せて行いたい。

 

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お知らせ

「宮沢賢治イーハトーブ館」休館のお知らせ

 岩手県は、県内における新型コロナウイルス感染症が拡大していることに鑑み、新たな感染を強力に抑え込むため、8月12日に「岩手緊急事態宣言」を発令しました。
 花巻市では、同宣言の発令に伴い、8月14日から、市関連施設の利用制限を「レベル4」で運用することといたしました。

 これによって、花巻市の運営する「宮沢賢治イーハトーブ館」も、8月14日より休館させていただきます。

 また再開の際には、当サイトでお知らせさせていただきますので、いましばらくお待ち下さい。

【参考】新型コロナウイルス感染拡大による花巻市関連施設の利用制限ガイドライン
  • レベル1
    市内・県内の感染者は無い状況が続いた場合
    (レベル1へ移行す目安としては、市内・県内の感染者は0が続き、首都圏等で感染が少ない場合)
  • レベル2
    市内・県内の感染者は減少している場合
    (レベル2へ移行する目安としては、市内の感染者は0が続き、県内の感染者は一ケタ以下が続き、首都圏等で感染が減少している場合)
  • レベル3
    市内で感染拡大の恐れがある場合
    県内で感染拡大の恐れがある場合
    (市内において感染が若干あり、県内において感染が減少していない、または二ケタ以上の感染者がある場合)
  • レベル4
    緊急事態宣言が岩手県に発令された場合
    県内・市内で感染が拡大している場合
    市内で感染者が連続して発生している場合
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イーハトーブ館企画展示

企画展「宮沢賢治とオノマトペ」を開催します

展示期間: 2021年8月7日(土)~11月17日(水)
時間: 8:30~17:00(最終日は16時までの予定)
会場: 宮沢賢治イーハトーブ館1階展示室

賢治の多彩なオノマトペ

 「オノマトペ(onomatopée)」とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、「擬音語と擬態語をまとめた言い方」(小野正弘主幹『現代新国語辞典』(三省堂))のことです。
 擬音語とは、実際に出ている音を言葉で表現するもので、「犬がワンワン吠える」の「ワンワン」がそれにあたります。
 これに対して擬態語は、音はしていない状態や感情について表現するもので、「ニコニコ笑う」「しーんと静まる」などがそうです。

 宮沢賢治は、その作品にオノマトペを多用したことで知られています。たとえば、童話「雪渡り」には、「キックキックトントン」というオノマトペが出てきます。子狐の紺三郎と、四郎とかん子という人間の子どもが出会い、堅く凍った雪の上で嬉しさのあまり踊り出す場面で使われていて、その後も繰り返し、みんながこれを歌うのです。かわいい響きによって、雪のきしみと軽やかに弾む足が目に浮かぶような効果を上げています。
 そのほか、賢治は「風の又三郎」の「どっどど どどうど どどうと どどう」、「やまなし」の「かぷかぷ」、「どんぐりと山猫」の「山がうるうるもりあがっている」など、これまで誰も使ったこともないような、たくさんの印象的なオノマトペを用いています。

 オノマトペは、賢治の作品世界をとても豊かにしているのです。

企画展「宮沢賢治とオノマトペ」について

 今回、宮沢賢治学会イーハトーブセンターは、2021年8月7日に、夏季セミナー「宮沢賢治とオノマトペ」を開催しましたが、同日から11月17日にかけて、企画展示「宮沢賢治とオノマトペ」も行っています。
 企画展示の内容は、8月7日のセミナーにおける講師4人のお話の紹介と、オノマトペが特徴的な宮沢賢治の様々な絵本の展示から、構成されています。

 詳しい内容は、以下の通りです。

小野正弘氏(明治大学教授)の講演:「ゆれる賢治オノマトペ「ちゃんと」「ぢっと/じっと」―」

 小野さんの講演では、賢治作品のオノマトペに見られる「ゆれ」について、詳しく解説されます。
 たとえば「ちゃんと」の場合、「ちゃんとやってきた」の「ちゃんと」は、「間違いなく」の意味(一般の情態副詞)ですが、「ちゃんと腰掛ける」の「ちゃんと」は、岩手の方言で「かしこまって・落ち着いて」の意味で使われています(方言的オノマトペ)。これは、「意味のゆれ」と言えます。
 その一方、賢治の童話では「ぢっと」と「じっと」が共存するなど、「表記のゆれ」も存在しています。
 このような「ゆれ」の様子からも、賢治のオノマトペの変幻自在さを垣間見ることができます。

竹田晃子氏(フェリス女学院大学/岩手大学非常勤講師)の講演:「宮沢賢治作品と同時期方言資料の比較―オノマトペを中心に―」

 賢治の作品では、オノマトペが頻繁かつ効果的に使用されているのですが、とりわけ方言的な要素を含んだオノマトペが、多く見られます。この竹田さんの講演では、賢治が生きた時代の方言資料を克明に参照しながら、賢治の作品中の方言オノマトペが分析されます。
 たとえば、当時の岩手方言では、オノマトペを使って自動詞を作る接尾辞「~メク」と、他動詞を作る接尾辞「~メカス」が多用されていたのですが、賢治作品において、この「メク類」と「メカス類」の接尾辞が、がどのように用いられているかという調査の結果が、紹介されます。

川崎めぐみ氏(名古屋学院大学商学部准教授)の講演:「『聴耳草子』と賢治のオノマトペ表現の比較―」

 賢治と交流があった、佐々木喜善という岩手の作家・民俗学者がいます。喜善は、柳田国男『遠野物語』の語り部として知られ、「日本のグリム」とも言われるほどの昔話の採集者でもありました。彼の著書『聴耳草子』は、1931(昭和6)年に刊行されたもので、青森・岩手・秋田・宮城各県の昔話を採録しています。
 この川崎さんの講演では、佐々木喜善の『聴耳草子』に見られるオノマトペを紹介しつつ、賢治作品のオノマトペとの比較が行われます。架空の世界を形作る舞台装置として、賢治はイメージ喚起力のあるオノマトペを多用したのではないか、という興味深い指摘もなされています。

栗原敦氏(実践女子大学名誉教授)の講演:「宮沢賢治と中原中也―オノマトペをめぐって―」

 詩人の中原中也は、賢治より11歳年下で、1907(明治40)年生まれです。賢治が中也に言及した痕跡はみつかりませんが、中也は賢治の『春と修羅』を愛読していて、「宮沢賢治の詩」という評論(昭和10年6月)を発表するなど、賢治の影響を受けていました。
 この栗原さんの講演では、賢治と中也の詩に表現されたオノマトペが、比較されます。賢治は、童話だけでなく詩にもオノマトペを多用した一方、中也は賢治ほど多用していないものの、効果的にオノマトペを使用していることが、豊富な実例とともに興味深く紹介されます。

絵本展示

 「雪渡り」「やまなし」「注文の多い料理店」「なめとこ山の熊」「オツベルと象」など、オノマトペを特徴的に使用している賢治童話の絵本が、数多く展示されています。
 なお、展示されている絵本は、館の売店で購入することもできます。

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宮沢賢治セミナー

夏季セミナー「宮沢賢治とオノマトペ」を開催します

2021年度 宮沢賢治学会イーハトーブセンター 夏季セミナー

宮沢賢治とオノマトペ

主催:宮沢賢治学会イーハトーブセンター
期日:2021年8月7日(土)
受付:13:00  開演:13:30
会場:宮沢賢治イーハトーブ館 ホール(上限80名)
入場無料・YouTubeによる配信あり
※新型コロナウイルス感染症対策により、予定を変更する場合があります。

今回のセミナーでは、宮沢賢治作品における特徴のひとつとも言える「オノマトペ」についてとりあげます。
宮沢賢治のオノマトペに見られる「ゆれ」についての考察。宮沢賢治の作品群と、方言調査の報告書・方言辞典や方言集等地域資料群との比較。佐々木喜善による民話集『聴耳草紙』と宮沢賢治のオノマトペを比較し、民話からの影響や独自性に迫る発表。そして、独自なオノマトペを生み出した中原中也と宮沢賢治作品の「童話」「詩」を見渡すことで見えてくる、二人の共通性と宮沢賢治が持つ表現意識の根源、賢治オノマトペの魅力とはどのようなものか。

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宮沢賢治研究発表会

宮沢賢治研究発表会の発表者を募集しています

 定期大会のプログラムのひとつとして、宮沢賢治研究発表会を次のとおり開催いたします。ここにその発表者を募集いたしますので、御応募くださいますようご案内申し上げます。
発表者の旅費は各自負担願います。なお、ご事情によっては旅費を支給できる場合もありますので、事務局までご相談ください。
 たくさんの応募をお待ちしております。

  • 期日
    2021年9月23日(木・祝)
    午前9時00分~(発表者数の関係で変更あり)

  • 会場
    宮沢賢治イーハトーブ館 ホール(200席)・またはYoutubeによる配信・併用
    ※新型コロナウイルス感染拡大状況により、入場制限をする場合があります。

  • 発表場所
    会場での発表、もしくはZoomによるオンライン発表

  • 発表時間
    発表時間20分、質疑時間10分とし、1人(1件)の持ち時間を30分とします。

  • 発表者数
    会場と時間の都合で人数を限らせていただくことがあります。

  • 申込方法
    所定の申込用紙に発表要旨(400字以内)を添えてお申込みください。
    申込用紙はこちらからダウンロードのほか、申込フォームから直接お申込みいただけますので、ご利用ください。

  • 締め切り
    2021年7月31日(事務局必着)

  • 申し込み先
    宮沢賢治学会イーハトーブセンター
    〒025-0014 岩手県花巻市高松1-1-1
    電話:0198-31-2116 ファックス:0198-31-2132
    mail :kenji.info@kenji.gr.jp

  • 選考
    応募は、本会の会員に限ります。
    発表者は、定期大会実行委員会において選考させていただきます。なお、原則として応募者の発表は2年連続までとします。

  • 宿泊
    お手数ですが、各自手配願います。
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イーハトーブ館企画展示 その他のイベント

企画展「3・11東日本大震災の記憶・陸前高田」を開催します

2021年6月2日(水)~8月4日(水)
会場/宮沢賢治イーハトーブ館ホール

釘子明講演会(陸前高田被災地語り部くぎこ屋)
2021年6月19日(土)13時半開演
宮沢賢治イーハトーブ館小ホールにて

東日本大震災10周年特別企画展示

3・11東日本大震災の記憶・陸前高田

監修:釘子明(陸前高田被災地語り部 くぎこ屋)

釘子 明/くぎこ あきら
[1958年生まれ、陸前高田市出身]
震災後、陸前高田第一中学校の避難所の立ち上げや、大石公民館の
復興の湯などのボランティア活動を行う。その後、遠野まごころネッ、。
トに所属し、ボランティアの方々に語り部活動を始める。
現在は一般社団法人「陸前高田被災地語り部」くぎこ屋を設立し、
東日本大震災の地域復興の再生と各自の防災意識の向上、防災マ
ニュアルや復興の歴史を後世に残す活動を行っている
語り部及び講演を聞いた方々は2021年3月末で55,000名を超え
ている。

関連企画

釘子明講演会「3・11東日本大震災の記憶から学ぶ防災について・陸前高田編」

事前申し込みをメール・電話・FAXで受け付けます。
氏名とお住まいの地域、ご連絡先をお伝えください(会員の方は会員番号)。
緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の対象地域からはご来場をお控えください。